ニュージーランドが4月27日ロックダウン解除へ
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の2020年4月20日の記者会見で、 新型コロナウィルスに対する4段階の警戒度を現在最も高いレベル4から、レベル3に引き下げ、ロックダウンを4月27日に解除する方針を明らかにしました。感染者の増加が抑えられ、感染経路の大半を把握できているためです。
ロックダウン解除後は、レストランの持ち帰り営業や10人未満の結婚式、葬儀の開催、製造業や建設業などの経済活動の一部再開が認められ、現在生活の維持に不可欠な仕事に従事している約50万人に加え、約50万人の約100万人職場復帰する見通しで、在宅勤務が可能な人は引き続き在宅を呼びかけながら経済活動の再開を認めるとのこと。
2週間後の5月11日にさらに緩和するかどうか決めるとのことです。
ニュージーランド財務省は4月14日に、新型コロナウィルス感染症に伴うロックダウン(都市封鎖)措置が予定通り4週間で終了した場合、失業率は細田い13.5%、政府が追加支援を行えば10%以内に収めることができると示しています。
ニュージーランドの感染者数
2020年4月5日に1000人を超えた後、増加ペースが鈍化。4月20日時点で感染者は1440人、死者は12人にとどまっています。
これまでのニュージーランドの政策目標は「封じ込め」「根絶」
各国が新型コロナウィルスの感染者を減らすというスタンスの中、ニュージーランドの対策の特徴は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぎ、根絶することを目標に掲げていて、比較的厳格と言われています。
ニュージーランドでは新型コロナによる国内最初の死者が報告される前に世界でも極めて厳しいロックダウンを決めました。初期的な兆候は有望で、新規感染率は低水準となり、死者数は先進国の中でも最小クラスです。
迅速な対応と経済政策
ニュージーランドの取り組みで特徴的なのは、まず対応が早かったことです。2月3日の時点で多国籍の人全員を対象に、中国からのフライトでの入国を禁止。ニュージーランド国籍を持つ人や永住権を持つ人、その家族は入国が許されたが14日間の自主隔離が求められました。
初の感染者が出た2月28日にはすぐに入国禁止対象国を拡大。3月19日には、全世界どの国からも自国民や永住権保有者以外は入国を禁止しました。
そして入国禁止に先立ち3月17日、経済的な対抗策として、ニュージーランドGDPの4%に当たる121億NZドル(約8000億円 1NZドル=約65円)規模の経済対策を打ち出しました。
企業の従業員に対する賃金補助に51億NZドル、自己隔離に対する支援策に1.26億NZドル、高齢者などへの冬季暖房費補助に28億NZドル、航空産業の支援に6億NZドルといった政策を打ち出した。(出典元:JETRO)
ニュージーランドのロックダウン体制
ニュージーランドでは2020年3月19日の時点で海外からの旅行者の入国を禁止し、3月26日から1か月にわたる全国的な都市封鎖を実施しました。これは、世帯ごとの隔離で、基本的には家族単位で自宅で過ごし、学校は休校となり子供たちは自宅学習をする。必要不可欠な業務に従事する勤労者以外は自宅待機・自宅勤務が義務付けられており、食料品などの買い出し、近所での運動以外の外出は禁止とされるものです。 買い物のために外出できるのも世帯の代表者一人だけです。
ルールを何度も破るような場合は、罰金を課せられたり、逮捕されたりすることもあります。
政府の方針に従うが92%
2020年4月に行われた世論調査によれば、調査対象者の92%が政府の方針に従って生活していると答えています。
この調査で「政府を信頼している」とした人は83%、パンデミックに対して政府が取った対応に賛成する人は84%。他国に比べて支持されている結果がわかります。
政策のわかりやすさ
首相は「バブル」という言葉をつかってわかりやすく説明。同一世帯の人々が一つの泡に包まれて暮らしているイメージです。
バブルの中の誰かが感染者とわかっても、ウィルスはそのバブルの中にとどまり、他のバブルには移らない。そしてバブルの中にさえいれば、他のバブルで感染者が出ても、それが移ることはない。バブルは壊れやすいので、壊さないように注意して、その中で過ごすように呼び掛けています。
アーダーン首相とアシュリー・ブルームフィールド保健省代表は毎日会見をFacebookのライブ配信を通じて、一般から寄せられた質問に答えたり、最新情報を提供したりして行われていることも、好感を持たれている一因だろう。
世界中から絶賛されているワケ
アーダーン首相は、終始笑顔で語りかけ、「どうか強くいてください。思いやりをもってください。そしてみんなで一つになってコロナに対抗していきましょう」と国民に訴えました。
「あなたは一人ではありません。私達はあなたの声を聞きます。私達が指示することは、常に完璧ではないかもしれません。でも私達がしていることは基本的に正しいものです。あなたは働かなくなるかもしれません。でも仕事がなくなったという意味ではありません。あなたの仕事は命を救うことです。人にやさしく。家にいましょう。そして感染を断ち切りましょう。」
アーダーン首相とニュージーランドの対応は、国民の支持を得ているだけでなく、海外からも高く評価されています。
首相自らが国民が抱く不安感をくみ取り、政府と国民の二人三脚を目指しているそうです。